まるで崩れたバベルの塔の破片だね。
明治バベルの塔
黒岩涙香、新聞「万朝報」の社長。あまりの執拗さに「マムシの周六」と呼ばれる。総理大臣に色ボケも大概にせーよ、と糾弾してるけど、自分もお妾さんいる。
福引付きの新聞は邪道、だけど自分のとこの売り上げも伸ばさないと。。苦肉の策で賞金つきクイズ掲載。
足尾銅山事件、田中正造、涙香に嘆願書の文言を書いてもらいたいけど、断られる。
涙香、新聞社勤務だけど規則正しい生活。春夏は5時、秋冬は6時起き。冬でも毎朝水風呂。1時間ほど庭内を駆け巡る。朝食はごはん、味噌汁、お新香、卵焼き、一時間半ほど原稿書き、自転車で出勤、人力車はヒューマニズムに反するから嫌い、17時には帰宅。自宅では晩酌しない。短時間で夜ごはん済ませて、あとは読書か執筆。
黒歴史、こんな昔から言い方あったのか。
牢屋の坊っちゃん
風太郎、夏目漱石風に小山六之助を坊っちゃんとして書いてみる。おもろー。
小山は下関に亡命してきた李鴻章を討った男。李は助かったけど。
裁判を受けて、成程重々自分が悪いと反省する小山。
監獄の飯は古いじゃがいもの煮たの、沢庵一切れ、変なにおいのする麦六分。
閉禁房(懲罰の独房?)からの闇室、もはや棺桶。
「スリで大富豪になる奴はいない。」泥棒は割に合わないよ、と。
犬のエピソードが涙。。
恩赦について疑問しか湧かない小山。私も常々これ考えてる。
いろは大王の火葬場
木村荘平、牛鍋チェーン店いろは経営者。各支店長20人すべてがお妾さん。生まれてくる子供の名前はだんだん数字っぽくなってきた。
臀肉切取り事件、怖いいいいい!!
カマ開き、なんとなくやだな。。
福地桜痴、エーッヘッヘッヘ!笑い方が独特。
四分割秋水伝
幸徳秋水、本名伝次郎。酒屋と薬屋をやっていた家の息子。数え17で土佐から東京へ家出。
いごっそー、高知弁で頑固の意。
涙香の万朝報の論説委員になった後は自分でも新聞社起ち上げるも、反社扱いになりすぐに廃刊。
巣鴨監獄に入れられて、150㎝ない小柄とはいえ、45kgから38kgくらいに体重が減ってしまう。
「野犬にかまれたと思って」言い方はアレだけど、「あなたは何も悪くない。不幸は早く忘れて明るく生きなさい。」っていうのはなんだか救われるなぁ。
秋水の母の獄中訪問がまた泣ける。
「人間の死とは、物質の化学的変化にすぎない。」死刑の前の秋水の死生観。
「他の十一人、たまたま同じ船に乗り合わせて、嵐に遭って一緒に沈んでゆくようなものだとおもってあきらめなさい。」教誨師のことば。
作者後口上
珍しい、あとがき的な風太郎。
「原著の特別なアイデアをそっくり盗用したり、非常識なほど長文を引用しなければ、料理店で材料や仕込み先をならべたてるようなもの。」盗作と参考のちがい。
「人間を四分割にして描いてみよう、と思いたちました。」その発想がすでに面白いよねぇ。各サブタイトルもウケたわ。
明治暗黒星
伊庭八郎、長身イケメンの剣の達人。
第一戦歴、鳥羽伏見の戦いにて腹部に銃弾受けるも、鎧に当たったので気絶しただけで蘇生。
第二戦歴、小田原藩と官軍の大軍を相手に負傷。三枚橋上の戦いで左手首から先を失う。ひえええ。
第三戦歴、函館戦争にて飛んできた弾が木に当たり、その破片で怪我。その後死亡。
「お刺身してもいいわよ。」接吻の隠語らしい。
左官の浜吉、後の星亨。
ゴッドファーザー化する星亨。
伊庭八郎弟、想太郎逆切れ暴走タイプ。「あんた兄さんに恥ずかしくないの?」これで弱体化する想太郎。
一万三千冊の書物と借金だけ残した星亨。